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星空散歩web updated 2016-10-08

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4 望遠鏡Ⅱ

s-IMG_0985B.jpg朝焼けとリニア彗星

念願の望遠鏡を購入して最初に見たものは、天文ファンなら誰でも知っているM42・オリオン座大星雲です。この星雲は肉眼でも確認できるほど大きく、天体写真集や天文雑誌の読者写真コーナーなどでもおなじみです。さぞかし良く見えるだろうと期待をして望遠鏡を向けたのですが、何回その付近を見まわしても視界に入ってきません。

たしかに星は見えるので望遠鏡が壊れているわけでもなさそうだしおかしいなぁと思いつつ何回も何回も望遠鏡を振り回しているうちにたまに薄い雲のようなものが視界に入るのがわかりました。心のどこかに「これがあのオリオン座大星雲かも」と言う気持ちはあったのでしょうが、「まさかあの大星雲がこんな貧弱にしか見えないなんて」と目の前の現実を否定したくてさらに望遠鏡をあちらこちらに向けていましたが、やがてその現実を受け入れざるを得なくなり大変ショックを受けたのを憶えています。

「せっかく買ったのにこんなものなのか」「きっと不良品に違いない。」「有名メーカーの望遠鏡なら写真のように見えるのだろうか?」「天文書には6センチの望遠鏡なら羽を広げたように美しい姿が見られるってあったじゃないか」などと複雑な思いで初めて望遠鏡を買った夜をすごしたのでした。翌日学校に着くなりしょうゆちゃんに夕べの出来事を話したところ、小口径の望遠鏡ではとても天体写真のようには見えないことがわかりました。

写真の場合は10分とか1時間とかの長時間シャッターを開けて光を蓄積するので細かいところまで良く写るということです。また、岩槻のような市街地では光害で星雲などの拡散した光はよく見えないことも教えてもらい、山の中など人工的な光のない場所なら小さな望遠鏡でもそれなりに見えると聞きちょっとほっとしました。また、最初の日はまだ目が慣れていないこともあったのでしょう。毎日見ているとしだいに羽を広げたように見えるようになってきました。

それからは晴れていれば毎日のように家の近くで星空を眺めました。とても軽かったので自転車に積んでの持ち運びも楽チンです。でも最初は望遠鏡を担いでいくのがなんだかのぞきをしているように見られないか心配で、観測場所も近くに家がない場所を探すなど結構気は使いました。

この望遠鏡で多くのことを知ることが出来ました。望遠鏡は倍率ではなく口径が重要なこと。望遠鏡自体と同じ位架台が重要なこと。などなどです。でもどんなに性能の良い望遠鏡でも使わなくてはなんにもなりませんね。僕はこの後に何回か望遠鏡を買い換えましたがその使用回数は最初に買った望遠鏡とは比べ物になりません。たしかに6センチとあったのに実際の口径は5センチしかないような望遠鏡でしたが本当に良く働いてくれました。

最近の望遠鏡はデジタル化が進み天体の番号を入力するだけで自動的に望遠鏡が天体を導入してくれるものまで出てきました。僕も興味はありますし、時代の流れではあると思いますが、最初からそれではありがたみも薄れておもしろみにかけるなぁと思います。なんでも便利になるのも考えものです。