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星空散歩web updated 2016-10-08

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3 望遠鏡

s-v3529-30ss.jpgいて座の天の川

僕は凝り性な性格で天文に興味を持ち始めた中学生のときは今までないくらいに本を読みました。星の関係の本の中でも天文学の本よりは天体観測の本のほうに特に引かれ、この星雲は口径5センチの望遠鏡ではリング状に見えるとか、土星は4センチぐらいの望遠鏡から輪が見えてくるなどの記述を毎日見ていると当然のことながら望遠鏡が欲しくなりました。

望遠鏡っていくらぐらいするのだろう?と天文の月刊誌である「天文ガイド」の広告ページをぼろぼろになるほど読みつぶしました。家はあまりお金のあるほうではなかったので、広告のメインを飾るニコン・タカハシ・ビクセン・ミザール・カートン(天文ファンでない方にはぜんぜんわからないでしょうが、天文界のブランド品です)などのメーカー品はとても買えません。私の目はちょっとマイナーなスリービーチ・成東商会などに注がれていったのです。しかし中学生の僕にはそれすら値段の折り合いがつかず、唯一手が届きそうだったリブラ商会というところが出していた6センチの望遠鏡キットを買うことに決めました。

値段は多分5.6千円だったと思いますが、このお金を作るのが大変でした。おこずかいは全額貯金するのはもちん、その他の唯一の収入である土曜日の昼食代もすべて蓄えて、3ヶ月くらいで目標を達成です。望遠鏡のためなら昼食抜きぐらいぜんぜんつらくもなんともありませんでした。

とにかくなんとかできたお金を文字通り握り締めて足立区・三ノ輪のリブラ商会に行きました。着いて見るとそこは平屋の民家の一角で営業していて子供ながら「大丈夫かな」と思いました。「ごめんください」と言うと、40代ぐらいの女の人が出てきて「何回も電話をくれた僕ね」と言われました。そう、僕は性能などの問い合わせで数回電話していたのですが憶えられていたことがなんだか恥ずかしかったのを憶えています。お金を払ってダンボールに入った望遠鏡を持った時、思ったより軽いなあと思いました。念願の望遠鏡を手にしたうれしさと、こんなもんでちゃんと見えるのかなという不安を抱きながら家路に着いたのです。