17 蛍と星空
昇る夏の星座と蛍
平家蛍は源氏蛍に比べて光が弱いので写真に写すのは難しいとのこと。
比較明でコンポジットしました。
福井県鯖江市。
ここは日本で作られる眼鏡のほとんどを生産している町で、僕は1,2ヶ月に1度は出張で訪れます。
前回、仕事である会社の社長さんとお話しているうちに星の写真を撮っていることをお話したところそのK社長も最近カメラに興味を持ってきたとのことでそのまま写真の話で盛り上がり帰りました。
行動力のあるK社長は数日後には僕と同じイオス40Dを購入され連日写真を撮っているというお話を聞いていましたが、そんな流れで蛍の話になった時に「鯖江でも蛍が見られる場所があるよ」と言われ出張で数日後に行く予定だったので「それまでに場所を探しておいてあげますよ」ということになりました。
そんなこんなで出張当日仕事が終わってから山沿いの目的地に連れて行っていただきました。どんよりして蛍も見えそうな雰囲気でしたがその川沿いには暗くなり蛍が現れるはずの8時過ぎになっても1匹しか見ることができずがっかりしているところへ追い討ちをかける様に雨が降ってきました。
ほぼ諦めかけながらももう1箇所あてがあるからと田んぼの間の狭い道を通り抜け違う候補地に移動しました。
するとどうでしょう。そこはいきなり数匹の蛍が舞う場所で「これはやったね」とばかり車を降りてセッティングを始めました。降っていた雨も止み蛍撮影に期待が持てそうです。
「車のハザードライトを付けると蛍が集まってくる」という話からやってみようということになりライトを付けてみると周りから蛍が集まってくるではありませんか。
面白くなってライトを付けたまましばらく蛍撮影をしていると1台の車がやってきました。そして車から男性が降りてきて「この畑の者だがハザードライトを点けていると蛍が死んでしまうのでやめてくれ」と言われました。
そんなこととは知らずこちらは「すいません」とあやまりライトを消しました。
蛍の寿命は約5日でその間にパートナーを見つけてから玉子を生んで死んでしまうらしいのですが、明るいライトを浴びてしまうとその光のせいで蛍はすぐ死んでしまうそうなのです。そうなるとせっかく毎年見られるはずの蛍も見られなくなってしまうとのことでした。
そんな話をお聞きしてわかったのですがその方はこの一帯の畑を所有する会社の社長さんで蛍のピーク時期は蛍を見たい人を案内したり、我々のようなライトを点けている人がいないか見回りをしているとのことでした。
昔はどこでもたくさんの蛍が見られたようですが農薬を使うようになってからはすっかり見かけられなくなってしまったが15年前から有機肥料を使い、最低限の農薬だけで田んぼを作ったところ次第に蛍が戻り始めこの田んぼだけ今のようになったそうなのです。蛍だけではなくとんぼやめだかなどさまざまな動物や虫が住むようになって先日も大学の教授がわざわざ見に来たとのことです。
特に今出ている蛍は平家蛍で全国でもこれだけ見えるのは珍しいとのこと。
いろいろお話をお聞きしているうちに「わかってくれればいいから楽しんでください」と言われ「クリスマスツリーがあるからついておいで」と別の場所に案内していただきました。
行ってみると木の上にたくさんの平家蛍がくっついているではないですか!
てっきりクリスマスツリーに使われるような木があるのかと思っていたのですが、それはクリスマスツリーのライトように蛍がとまっている木のことだったのです。
平家蛍はもうすぐ死んでしまう時期になると木の上に移動するとのことでした。
空を見上げると雲も取れていき星も見えてきました。
あきらめていた蛍が見えた上に星と蛍まで撮れそうです♪
そして次は「田んぼの縁に蛍が宝石のように光っている場所があるから連れて行ってあげる」と言われついてきました。
行ってみると確かに田んぼの縁に蛍が光っています。最盛期はこの10倍いて見事に宝石のように光っていたとのことです。
平家蛍は源氏蛍のような明るい華やかさはありませんがほんのり優しい光を放っていました。
というわけ注意されたのがきっかけでしたが結局2時間くらい蛍ガイドをしていただきものすごくラッキーな時間を過ごすことができました。
畑の社長さん、そして誘っていただいたK社長に感謝!です。
北斗七星と蛍
クリスマスツリーのライトように木にいる蛍と一緒に写しました。
はくちょう座・こと座と木にとまる蛍
ほんのり白鳥座の天の川も見えています。
田んぼに舞う蛍
一般に多く見られるのは源氏蛍で主に川にいるそうです。
今の時期、この畑に多く見られるのは平家蛍です。
田んぼの際で光る蛍達
最盛期は縁が蛍の光でいっぱいだったそうです。